ノミブロ
2013-10-21T08:03:11+09:00
nominingen
現在5人の女のこ達メイン
Excite Blog
おやしろ
http://nominingen.exblog.jp/21221962/
2013-10-21T21:58:00+09:00
2013-10-21T08:03:11+09:00
2013-10-21T08:03:11+09:00
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内部
We alwaysのボツにしたレイちゃん短文に加筆修正した文章を供養としてうp。
おいおいおじいちゃーん!?と言いたくなる時もありますが、
あの明るさがやっぱりふっと心を軽くした時もあったんじゃないかなーって。
腕の中にすっぽり収まってしまうぐらいのその体からどうやったらそんな大きな声で泣けるのだろうと思うぐらいの声で、赤ん坊が泣いている。
絹より柔らかで日につやつや輝く深い紫がかった黒髪も、眉も目も鼻も唇も、なにもかも手より小さい顔を、それはもうくしゃくしゃなんてもんじゃない、ぐちゃぐちゃにして。
もうかれこれ三十分はこんな風にわんわん泣いている。
ミルクでもない、どこかかゆい所がある訳でも、いたい所がある訳でもどうもないらしい。
おお、よしよし、と声をかけて揺らしたりしても一向に泣きやむ気配はなく、駄目で元々、ほうら、と高く持ち上げるとますますひどく泣きだしてしまった。
ええと、あとは何をやったらいいか、と必死に遠い遠い昔の記憶を引っ張り出してこようとするがとんと浮かばない。
こうなったらどこか奥深くに仕舞い込まれた育児書でも探そうか、そう考え始めた時、ただいまー、と声がする。どうやら帰ってきたらしい。
出掛ける前に、任せておけ、お前は買い物に一時間でも二時間でも行ってきなさい、とどんと胸を叩き大見得をきった手前、
なんとかしてやりたかったがそうも言ってられない。どっち道老いぼれの耳にもわんわん響く泣き声は外まで聞こえているはずである。
玄関まで急いで行くと、言訳けする間も頼むと言う間もなく、はいはい、と見事な手つきにされるがままにそっと渡してしまった。
腕の中でいよいよ天井どころか空まで突き破らんばかりの声に、怯むことも動じることもなく、
どうしたのかしらね?と聞き出すように声をかけながら、ぽんぽんと背中を叩く。
そうしてお尻の辺りをそっとなでると、どうやらぴんときたらしい。
ともすれば顔に当たりそうにぶんぶん暴れる手足をいなし、そっと畳に寝かしつけたところで、やっとこちらもぴんとくる。
手際良く用意し始めた背中に、やろうか、と声をかけると即、女の子ですもの、さ、出てって出てって、と断られてしまった。
仕方なしに襖の向こう側へ退散すると、あれよあれよと言う前にわんわん声はあーんあん。
静かになったと思ったら、きゃっきゃっとくすぐったそうな声に早変わりしてしまった。
頃合いを見計らって襖から顔をのぞかせると、大人しく涙を拭かれている。そして細い指の手櫛でさっさと髪を整えられて、ぐちゃぐちゃだった頭も顔もすっかりきれいになってしまった。
その抱き方も、背のさすり方も、涙の拭き方も瓢箪に釣り鐘、駿河の富士と一里塚、月とすっぽんである。
こんなにも違うものだったか知らん、そう思いながら、うむう、と思案顔をしていると、子守りありがとう、とあっさり感謝を述べられてしまった。
ぽり、とかゆくもない頬をかいて部屋に入り、隣に座って早々、すっかり調子の出てきた小さな手が、確かめるように、だ、だ、と声をあげて頬をたたく。
にんまりと口のはしっこをあげて、ばあ、と口を開けるとまだよく分からないのか、びいどろのまあるい目の玉はきょとんとしている。
ならばこれはどうだと自分の頬を指でひっぱったり、押しやったり、つりあげたり、つまんだりはさんだり、つねったりねじったり、
とにかく手を変え品を変え、とっておきに舌をべえっと突き出すと、びいどろの奥からくすくすと声がもれた。
なんじゃい、と指を使わずに目と眉をつりあげても声は止まない。
「だって、おかしいんだもの」
「言っとくがの」
言いかけると、分かってます分かってます、重々、百も承知と言わんばかりにこくこくうなずく。
「でも見たことのない顔してるんだもの、お父さん」
と、やわらかく目尻をさげた娘に、よく分からないままつられて声をあげる孫娘の姿に、拗ねた気持もどこへやら。
もういいわい、といじけた下手な芝居を打ってどちらともなくくつくつと肩を震わせ合う。
老いぼれの頬を確かめることに飽いた孫娘が今度は母の指を確かめるのに夢中になったのを見て、ふと尋ねる。
「あの男はちっとでも帰るか?」
娘はふる、と小さく頭を振る。
しょうのないやつじゃの、そう呟くと、その言葉に丸い頭がちいさくかしいだのに笑いながら、娘は少しだけ眉を寄せる。
「お仕事ですもの」
「そうは言ってもの」
もちっとやりようがあるんじゃないか、そう続ける前に朱に薄づいた頬を撫でる指が目に入る。
真白い産着の色とまるで遜色のない肌の色。つり針のように曲げた指に一筋浮かぶ青藍が、頬の朱と相まって造り物のように映えて。
声を出す前に、くすぐったそうに身をよじらせた頬が、指の腹を包む。
それだけでくしゃりと破顔した娘の顔に、腹の言葉は霧のように散って、霞の如く消え失せてしまった。
昔と比べ、随分後ろへと下がってしまった額をぴしゃりと叩く。
「のう」
はい、と短い返事に、一つ、きいた。
「さみしくないか」
そう長くはない沈黙に、う?と不思議そうな声を出して、おもたい頭をひっくり返しそうに母の顔を見上げた孫娘は、そのまま体ごと身を預ける。
あらあら、と小さく言いながら。
絹のように柔らかい鴉のぬれ羽色した髪。一心に見つめてくるびいどろの目の玉。白い小石のようにまるい鼻。花弁のような丹唇。
ひとつひとつ、丁寧に視線を娘は注ぐ。ゆるやかにうねった夕日をたたえた黒髪が肩から滑り落ち、鼻先をくすぐる。ふあ、と小さな口が開いたかと思ったが、むにゃむにゃと閉じてしまった。
うむう、と小難しそうにしかめた顔に、娘は眉を下げる。拗ねた顔と、ゆるやかにうねる髪とはまるで正反対の真っ直ぐな髪を梳いて、娘は目を細めた。
「私には、この子がいるもの」
ね?という声に返事をするように、だあ、と鈴の音色の声が上がる。
その姿にやはりまた何も言えずにいると、もみじの手が、ぴしゃん、とまぬけな音を立てて、老いぼれの額をなでる。
春の星空のようにきらめくびいどろの目の玉、申し訳程度に生えた眉、小指よりも小さい唇が、ぱっと開く。
それはきっと、偶然である。
母の腕に抱かれた心地良さに虫の居所をゆらゆら揺すぶられたのかもしれないし、
法則も規則も皆目見当がつかない赤子によくある気まぐれなのかもしれないし、かあ、と鳴いたカラスの声が面白おかしく琴線をくすぐったのかもしれないし、
ふと大昔の思い出でも思い出したのかもしれないし、もしかしたらこの老いぼれには見えぬ聞こえぬ感じれぬ、そんなものが背中にいるのかもしれない。
偶然ならば偶然で。
老いぼれの勘違い、都合良さ、贔屓目、子煩悩ならぬ孫煩悩だと、馬鹿にしたければ馬鹿にしろ。
それでも今この子は、儂の禿頭をぴちゃんとなで、ちゃーんと目と目を合わせて、舌ったらずに、おじちゃ、と呼んだ。
そうして、お父さんもね、と言った娘にうなずくようにして、。
なんじゃいこんな朝早くから。ええ?ああー、そうじゃったそうじゃった。今日から女子大生だったのう。
むふふ、わしも大学一緒に行こうかのー。若い娘さんとおべんきょー…じょ、じょーくじょーく。
ああほれぼやぼやしてると遅刻するぞ。分かっとる分かっとる。こっちのことは任せなさい。わしゃこの道云十年の大ベテランじゃぞ。
…え?ナンパの間違いじゃないかって?
な、なーにを言っとるか、別にお前が居ない間かーわいい子に声かけよーとか街に出て若い娘さんとスキンシップーなんてこれっぽっちも…じょ、じょーくじょーく。
シャレじゃよシャレ。なーに老いぼれの戯言じゃ。ほれ本当に遅刻してしまうぞ。
分かっとる分かっとる。昼が冷蔵庫にあるのも、今日のやることもちゃあんとこの頭に入っとるよ。見た目は寂しいがの。
わはは。わしゃ生涯現役じゃよ。
「…それじゃ、おじいちゃん」
「おう」
こっくりと頷くと、鴉の濡れ羽色した髪が風になびく。ううむ、うらやましいぐらいの艶と量。
とんとんと小気味の良い拍子で石段を五段も降りた所でやっとその背が下になる。
段々と小さくなる姿に、ふと思い立った。
「レーイ!」
くるりと振り返って、何かあったのかと慌ててこっちに戻りかける素直な孫娘ににんまりと口の端をつりあげて、これでもかと声を張り上げた。
「お土産よろしくのー!」
途端がくっと肩を落とし、きっ、とこちらを見たものの、あんまりにも馬鹿馬鹿しくて呆れてものが言えないのか、やれやれと眉を下げる。
軽く手をあげてから、今度こそ向かい出した。
その姿が見えなくなるまで、ひらひらと手を振る。
わしはお前の、たったひとりのおじいちゃんじゃ。
でもお前のお母さんや、お父さんの代わりには、逆立ちしたってなれんじゃろ。
だけどこんな風にこの神社を、お前が帰る場所の、一つぐらいにはしておくから。
もう聞こえないだろうけど、それでもつぶやいた。
「いってらっしゃい」
孫が来てから、もう何度目かの春。
どこからともなく舞ってきた桜が、つるりと頭をなでた。
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しばらくってレベルじゃねーぞ
http://nominingen.exblog.jp/21145227/
2013-10-02T19:05:00+09:00
2013-10-02T10:25:58+09:00
2013-10-02T10:25:58+09:00
nominingen
雑記
すみません、お久しぶりです駒野です。
オンリ終わってからブログ更新しなさすぎで本当にもどうしようもないなこいつ、と自分で思います。
ついったさんでちらほら言いたい事をつぶやけるとブログとか更新しなくなりますね。
いや前からそんな頻繁ではなかったですけど…
横に表示させてるついったでも言ってましたが、ブログでは言ってないわ…と気付いたので改めて。
オンリではありがとうございました!
正直キャラの顔がばーん!って出てる表紙でもないし、女の子達がきゃっきゃっうふふしてるでもない内容だったので、
一冊も手に取られなかったらどうしようウフフでもオンリに参加することが大事よね、とオリンピックかよ、
みたいな気持ちで参加していたので、本当に手にとって頂ける方々がいらっしゃって嬉しかったです。
しかも差し入れを下さったり、無料配布のが見てみたくて…とサークルによって下さったり、
本で泣きました、言って下さった方がいたりと、とっても嬉しかったです。(内心ガッツポーズの狂喜乱舞でした。ほめられると伸びるタイプだから!)
で、見ましたよセラ/ミュ!みなさんは行かれたでしょうか?
本当にキャストさん方が素晴らしかったです。そして前世ドレス。可愛過ぎてによっとしていました。
駒野は内部×内部も内部×四天王もみんなが幸せなら平然ともぐむしゃ出来るので、
可愛いなあとそればっかり思いながら見てました。
うさぎちゃんもあの初期のうさぎちゃんっぽいなー、素直な子だなーと。
脚本はほあー、と驚きました。
そして、オンリーの4回目が開催されるそうで。
運営をして下さる方々いることに、感動し、またありがたいことで、おめでたいことすぎて今から震えております。
特になにか起こらなければまた参加する予定ですので、その際はよろしければお立ち寄り下さいませ。
新刊はほたるちゃん本準備号の完結、内部、奇跡が起こればCP本を出したいなぁ…と思っています。
それではまた再びもぐります。ちょくちょくついったにはなにかしらつぶやいております。
では。
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オンリー
http://nominingen.exblog.jp/19716295/
2013-06-30T00:00:00+09:00
2013-06-27T16:43:25+09:00
2013-01-31T23:54:58+09:00
nominingen
お知らせ
月華遊星3
お問い合わせ等ありましたらついったへ→駒野
サークル白手袋のスペースは木9です。
新刊は個人誌2冊、また内部の合同誌(ゲストお二人+白手袋)1冊の三冊です!
表紙、サンプルは下記からどうぞ。
新刊
『Present for you!』 A5 本文42P 頒布価格300円
※白手袋へゲストにめらみんさん、マー坊さんをお迎えさせていただいた合同誌となります。
表紙を鷹埜さん、裏表紙をめらみんさんに描いていただきました!
お二人のブログはこちら↓
めらみんさん→こどものお夜食
マー坊さん→プラマイゼロ±
あみだくじで決めた各人の担当キャラ、ジャンルは以下になります。
めらみんさん :まこちゃん ほのぼの マー坊さん:美奈子ちゃん ギャグ
鷹埜さん :亜美ちゃん シリアス 駒野:レイちゃん 自由
私はジャンル自由だったので、いつも通りな感じで書かせて頂きました。
内部好き4名による内部への愛を詰めた本ですので、
内部好きな方もそうでない方もお手にとって頂けると嬉しく思います。
どうぞよろしくお願い致します!
サンプル
『Irae』 A5 32p(表紙込、2万字程度) 頒布価格350円
原作前世、木星と火星が真正面から大喧嘩する話。
※設定資料集の設定より妄想、若干の捏造設定有
サンプル
『We always love you』 A5 22p(表紙込) 頒布価格200円
内部太陽系みんなの、とても小さな頃のお話。
※中学生の彼女達は出てきません。表紙はセピアカラーで印刷予定です。
サンプル
既刊本
『Hello,my friends』 A5 24P(表紙込) 頒布価格 300円
美奈子ちゃんとみんなの話。
サンプル
進捗状況
修正中]]>
オンリ新刊サンプル
http://nominingen.exblog.jp/20663950/
2013-06-16T20:50:31+09:00
2013-06-16T20:50:38+09:00
2013-06-16T20:50:38+09:00
nominingen
お知らせ
白手袋にゲストお二方をお迎えさせていただいた合同誌となります。
その名も「Present for you!」
あみだくじで担当キャラ、ジャンルを決め、
駒野はレイちゃん、ジャンル自由と相成りました。
レイちゃん。
ってたった一回呼ぶだけで、レイちゃんという人は相手が何を思っているか分ってしまうらしい。
たとえば亜美ちゃんが水たまりに気づかないレイちゃんを、レイちゃんって呼び止める。
すると立ち止まって、振り返って、それから足元を見て、ああって納得してありがとう亜美ちゃんって言えちゃう。
それからまこちゃんが甘さ控えめ新作クッキーの包みを、
はいレイちゃんって渡す。
するとみんなよりちょっとだけ大きな包みを見て、
中身がまだ分からないのにフォボスとディモスにもあげていい?って聞く。
まこちゃんがそのつもりだったって笑うと、嬉しそうにありがとうまこちゃんって言えちゃう。
そして美奈子ちゃんがちっちゃな袋を掲げて、
お掃除中の背中にねえレイちゃんって声をかける。
するとレイちゃんはちょっと待って、ってお掃除にひと区切りつけて、
美奈子ちゃんと一緒に悪戯っぽく笑いながら、一足先にマドレーヌを食べつつみんなにお茶を淹れてきちゃうのだ。
そんなレイちゃんに、もしかしてレイちゃんってえすぱーとかちょーのーりょくしゃ?って聞いたことがある。
するとレイちゃんはため息ついて、なに言ってんのよ、って心底呆れたように言ったっきり、お掃除に戻っていった。
つまり、いちれんのけつろんから言うと。
レイちゃんはあたし、月野うさぎ以外の相手がたった一回呼ぶだけで何を思っているか分ってしまう人なのだ。
「そんなこと、ないんじゃないかしら」
そう言ってうーんと眉を寄せて困ったように笑う亜美
ちゃんに、うん、とまこちゃんも美奈子ちゃんもルナもアルテミスもみんな深―くうなずいた。
「いやぜったいえすぱーだって亜美ちゃんっ」
「や、そっちじゃなくて」
ぺし、って空中にまこちゃんがつっこみをいれると美奈子
ちゃんがえっとね、って説明してくれる。
「レイちゃんって確かにあたし達の気持ちを分ってくれる
っていうか、くんでくれるのがとっても上手よ。
でもそれはうさぎちゃん以外って言うか…」
途中まで言いかけて、美奈子ちゃんは小さくみんなに
「これ言っていいと思う?」と聞くとみんなはううーん…と難しい顔をして明後日の方を見たり床を見たり目をつぶってしまった。
隠し事って訳じゃないだろうけど、こういうのがいっちばん気になる訳で。
とりあえず一番難しそうな顔で悩んでいる亜美ちゃん!の膝で完璧に油断していたルナを抱きあげる。
「い、いきなりなにうさぎちゃん」
「どーいうことか説明してよルナ」
ぴくぴくふるえるルナの口につられて猫のひげがびよんびよんとはねる。
視線を逸らそうとするルナにぐいぐい、顔がぼやけちゃうぐらい迫っていくとばたばた肉球としっぽが暴れる。
ええいこのごにおよんで観念せいっ。と、だっこした手をわしゃわしゃ動かしてやる。
「ちょ、あはっ、う、うさぎちゃんっ。
やめ、やめなさいこらっ」
そう叱ったルナの声はすぐに笑い声に変わってしまってなんにも怖くない。むっふっふ、と悪代官さまよろしくに口のはしをつりあげると、ひく、とルナの口がひきつる。
「さあかくごはでき――」
言いかけたあたしの手からひょい、とルナが救出され、目を丸くした所で聞き慣れた声がふってきた。
「なにルナいじめてるのよ」
噂をすればのレイちゃんは、言い終わるとあたしに向けてたつめたい視線をやわらかくして大丈夫?とルナに微笑む。
レイちゃんって人はなんでこういう時に限ってっていう時に現れる人なんだろう。
やっぱり絶対えすぱーだ。だってルナが好きなとこなでてるし、嫌がらないだっこの仕方もしてるし。って。
「あたしルナのこといじめてないもんっ」
「よく言うわよ、ルナ嫌がってたじゃない」
「だってそれはルナっていうかみんなが…あ、ねえみんなやっぱりレイちゃんって、」
「よーしレイも来たとこだし会議にしよう!」
アルテミスの一声で、みんな、そうねそうしましょうそうだそうだって、会議モードになってしまった。
レイちゃんも待たせてごめんね、なんてみんなに素直に謝っちゃってあたしの方を見ることもなく真剣な顔つきでアルテミスを見つめる。
こうなってしまうといくら横で喚こうが叫ぼうが、静かにしなさいって叱られちゃうだけだから。
納得は全っ然いかないけれど、しょうがなくあたしは会議の間寝てしまわないように必死に集中することにした。
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オンリ新刊サンプル
http://nominingen.exblog.jp/20490334/
2013-05-14T21:00:00+09:00
2013-06-04T10:26:34+09:00
2013-05-14T20:59:58+09:00
nominingen
お知らせ
内部太陽系みんなの、とても小さい頃のお話。
サンプルは亜美ちゃんですが、
本にはうさぎちゃん、レイちゃん、美奈子ちゃん、まこちゃん、それぞれみんなのお話があります。
※中学生の彼女達は出ません。すべて妄想の産物なのをご容赦下さい。
風にそよぐ梢。カナリヤ色の木洩れ日。
不規則なきらめきの中ゆれる乳母車は、まるでたゆたう小舟のようだった。
心地いい午睡にひたる前の、猫のようなあくび。キャンパスに描くのと同じ要領で。
水のように柔らかな髪を指がかきあげる。
流れにさからうことのないようととのえて、そっと離れていく。
珊瑚色のブランケットをつまみあげ、肩にかける。
瑠璃色の大きな瞳。
そこにうつり込んだ小さな私達は、まるで海の中にいるようだった。
それならと、頬を白い砂浜にたとえてみて、すぐにそれはまちがいだと知る。
指を押しかえす肌の弾力。
なのにどこまでも柔らかな感触。
その温度は日向。
肩に置かれた温度と、とてもよく似ている。
あ、とちいさな声と一緒にのばされたもみじのような手を、大きなてのひらが包む。
するとつぼみのようなくちびるが花開いて、きゃあ、と弾む声が咲く。
それにつられて、どちらともなく顔を綻ばせた。
こめかみをなだらかな腕に預けて、手を重ねあわせる。
木々のさざ波に転がる鈴の声。
あわせた二つの手の中で、小鳥がはばたくように動く。
ひとつ小鳥を撫ぜて、そうして離れた大きな手が、ほら、と雲のように指を広げる。
それから空へとのびて、やってごらんと浮遊する。ゆっくりと羽をひろげた手が、はためいて。
その身に風を受け、太陽の熱を受けながら、かざし。
ながれる血汐に目を細めて。
それでも、自らの意思で。
たとえばこの手が。
誰かの手を、握り返すことができるほどになった時。
冬の日差しさえ眩しそうにしたその目で。
春のかすかな気配すらとらえたその耳で。
夏の雲たった一つにおどらせたその心で。
一体、何を追うのだろう。
どこまでものびていく飛行機雲。
抜けるような青空の高さ。
それを支えるようにそびえる山あいの、新緑から赤へ変わる不可思議。
空に浮かぶ白磁の月の、杳々たる園が寂れたように。
遥かから、紅葉が散る。
まもなく眠りへと落ちていくもみじを、出来るだけゆるやかに受けとめた。
お互いの吐息がふれあうほど距離を縮めて、やわらかなひたいと、額をあわせて。
かみと髪とをこすり合わせて、声をあげて笑うあなたに、はなのあたまでキスをする。
一と。百と。千と。億と。兆の確立を超えて。
私達のもとへ、うまれてきてくれたあなた。
亜美。
二つの音。息を吸って、言葉にする。
たったそれだけのことなのに。
世界がにじんでしまうなんて、知らなかった。
あなたが私達に教えてくれたように。
あなたもきっと、教えてくれる誰かに出会うでしょう。
その時。
あなたがその、誰かの手を、握り返すことが出来るようになるまで。
すこやかに。おやすみなさい。
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オンリ新刊サンプル
http://nominingen.exblog.jp/20198319/
2013-04-11T20:33:00+09:00
2013-06-04T10:30:36+09:00
2013-04-11T20:33:52+09:00
nominingen
未分類
原作前世設定+設定資料集での設定「変身すると瞳の色が変わる」を妄想、
+フォボスとディモスを妄想した結果、ほんのり捏造しています。
※注意
・木星と火星がガチンコ喧嘩するバトルものです。
その日のシルバーミレニアムは、ちょっとしたお祭り騒ぎだった。
とはいえそれは国中がではない。パレスの一部、特に国防に属する所。つまり王国の兵達のあいだのことだった。月の四守護神、火星のプリンセスでもあるセーラーマーズの凱旋。双子の忠臣、フォボスとディモスを連れ、兵を率い、国に仇なす妖魔達を滅ぼしてきたのだ。向かい来る敵の攻撃もなんのその。引き裂こうとのばされる敵の爪を避け、牙をかわし、潰そうとする蹄をいなし、圧倒的な力を逃がし、敵を地面に叩きつける。まるで呼吸するように戦い、踊るようにして敵を倒すその姿に思わず見とれて動けなかった、と言う者さえいて。その活躍は華々しかったという。しかし、そんなことはジュピターにとってはどうでもよかった。だから適当な大部屋に検討をつけ騒ぐ大勢の声にここだと思い扉を開け目に入った兵が誰かも何かも考えず、問うた。
「マーズが今どこにいるのか、知ってるか?」
大変な戦いだった、と思う。何度か背筋に嫌な汗が伝うような場面もあった。まるで足が言う事を聞かないこともあった。大きな負傷こそしなかったが、肌や髪をかすり、命を削ごうとする剥きだしの攻撃。乾いた喉のひりつきが胸の奥の情けない震えを小突き、それが歯の根に伝わってうるさく鳴る前に食いしばる。訓練ではない実戦。ずっとそれに備えていた筈なのに。敵の牙や爪にちらちらと見え隠れする影が嘲笑する。いつもいない振りをした死の近さに肌が粟立ち、積み上げたと思っていた鍛練の日々が揺すぶられて霞む。滲む汗と一緒に脳裏に流れるいくつもの光景に、ぎゅっと瞼を閉じてしまいたくなった。けれどそんな事を私達が思う度。噛み砕こうとした牙と裂こうとした爪を払うあざやかな色があった。それは敵へと向かう心を喚び起し、かすんだ闘志をマグマのようにあふれさせ、そしてなにより夜明けを思い起こさせた。昇る太陽、始まる新しい日。待っている日常。それに何度も鼓舞され、荒れ狂う灰の風と攻撃、黒い返り血で塞がれそうになる目をこじ開けて戦った。気づけば敵に動く者はなく、その真中にはこの広い銀河でただ一人の主、銀河一神々しく輝く火星のプリンセス、マーズさまその人がいて。呆気にとられ動くのを止めた体からの猛烈な疲労感の訴えは、その姿に跡形もなく吹き飛んだ。あれだけの猛攻に自ら身を投じ細い体をさらしていた筈なのに、出陣直前とまるで変わらぬ出で立ち。ほんの少しでも触れることすらさせなかったのだろう白は眩しいぐらいに輝き、髪すらもつれることなくいる。違う所があるとするなら微か乱れた息と、一筋額に張り付いた髪と、赤い瞳。乾いてひきつれた声でその名を呼ぶのはためらわれ、それ以上にたまらなくなって走りだす。マーズさまは私達に気づくと二、三瞬きを繰り返し、自身のお色と同じ瞳を、いつもの紫に戻される。太陽の落ちる空を、流星の速さで見たよう。惜しい、と感嘆の息を吐く前に、マーズさまは少しだけ微笑まれ、帰りましょう、とだけ仰って歩き出される。それに慌てて返事をして、その隣に立つとマーズさまはこの戦いに参加した全ての者の顔を見渡すようにゆっくりと辺りに目を向けられると、帰還の命令を告げられた。
「――お疲れ様でした」
フォボスの差し出した紅茶を力なく受け取ってマーズは一口だけ飲むと、くたりと私室のソファにその身を預ける。瞼を閉じているのをいいことに、フォボスとディモスは顔を見合わせて苦笑した。誰の目にも明らかに、マーズは疲れていた。それもそのはず、マーズはつい先ほどまで勝利の美酒に酔いしれ普段より大胆不敵になった兵達に称賛喝采感謝感激の雨あられにあっていたのである。兵と守護神、そのヒエラルキーが物を言って物理的にも音量的にも遠い所から言うのが通常なのだが、マーズ自身が兵達の元へ訪れるという貴重な機会と、兵達を浮つかせるほど華麗な大勝が起因し、逃げる間もなくめちゃくちゃな賛美の大合唱を聞かされる羽目になったという訳だ。素晴らしいお力でした。艶やかな黒髪がさっと流れて敵が伏していくのは魔法のよう。なによりあなたの横顔ときたら緋色の瞳がルビーよりも輝いてその美しさは千言万語に費やしても…云々。私達がとやかく理由をつけて退出していなければ、マーズを囲んだ宴会になだれ込んでいたかもしれない。元々大それた宴に好んで参加されたりはしないし、ご自分にも他にも厳しくあるが、優しいお方だ。思惑の無い好意は色恋云々でない限り受け取られるから。しかし小さく混じっていた不穏な発言(遠回しな表現だったけれどやましいと思われるもの)があった以上、断固として遠ざけなければ。深い息と共に沈む体。少しだけ乱れた髪。きちんと閉じてはいるが投げ出し気味の足の珍しい姿。守護神も流石にといった所だろう。気づかれないよう室内の明かりを絞りながら、今のマーズさまは子供のようで愛らしいなぁ、などと知られたら怒られてしまうようなことを考える。とはいえそこは双子のテレパシー、そんなことはおくびにも(顔にも声にも)出さずにそっと毛布をかける。
「もうお休みになられてはいかがでしょうか」
食事も湯浴みもなさいましたし、と続けるディモスの言葉にぱちりと目を開けて、マーズはきっぱりと首を振り立ち上がる。
「ヴィーナスとマーキュリーへの報告があるわ。そろそろ二人とも、仕事に区切りがつくでしょう」
そう言ってマーズはかけられたばかりの毛布をソファにやってしまい、ぐい、と冷め始めた紅茶を飲みきる。あなた達こそもう休みなさい、と続けられた言葉に、二人ははっきり、いいえ、と断る。マーズは今一度二人を見ると何も言わず最低限の身支度を始め、二人もそれぞれ毛布をしまい、カップを片づける。扉が閉まるのを確認せずにマーズは部屋を出て、そしてすぐ二人も三歩後ろからついていく。規則正しい三つの足音が夜の廊下に響く。澄んだ反響音。無駄な会話はない。それはいつものこと。けれどいつものことではないことが、戦いの前からあった。しばし歩いた所で遠慮がちにフォボスは口を開く。
「ひとつ、我々からお伺いしてもよろしいでしょうか」
歩く速度を緩めず、かといってどうしたと問うこともないマーズの背に、恐々とディモスが続けた。
「ジュピターさまの所へは、行かれないので?」
宴会騒ぎの兵をとっ捕まえて聞きだしそうやって見つけたマーズはいつも通りでいて、足音か気配かそれとも自前の第六感かは分らないが数十メートル離れたあたしを即座に見つけた。マーズがその歩みを止め、不審な顔つきをしたフォボスとディモスが目を丸くしたのも気にせず、ずかずかと近づく。マーズの表情は変わらない。
愛想のない仏頂面。にこりともしないどころか眉ひとつ動かしはしない。しかし目だけはすべて受け入れると、手前勝手に構えている。だから言い放つ。
「あたしを燃やしてみろ」
開口一番言い放った瞬間。マーズの眉間に今まで見たこともないほど深い皺が刻まれ、忠実なフォボスとディモスが縋るような視線をこちらに向ける。今のマーズはお前を今すぐ殺すぞ、とでも言い出しかねない表情をしているように見えるのだろう。傍目には。空気がちりちりと緊張を帯び始める。フォボスとディモスが眉を寄せて一層強く訴えてくる。今ならまだ間に合う。矛を下げられる。それにはまず、あなたから。フォボスが一歩前に出て、何か言いたげに口を開きかけたが言葉を出させなかった。遠慮なしに無礼に近寄り、慇懃に視線を合わせた。真っ直ぐに。馬鹿がつくほど丁寧に。
「燃やしてみろ」
っ。と息を無理矢理のんだ音がユニゾンする。どちらか一方が手をのばしかけて止めて、縋る視線が糾弾に変わって敵意すら混じり始める。が、そんなことは知ったことか。深い紫の瞳がぐらぐらと煮えたぎり眉間の皺はとっくの昔に消えうせてその代わりにあふれるエナジーが髪をなぶる。そこらの空気よりもあたたかい、いや、熱いぐらいの風がこちらまで届き、空へと逃げていく度に、煽られる。一瞬で燃やせるだけのものを持ちながら、それでもこいつは、まだ出来ないとぬかすのか。そんなに出来ない出来ないと駄々をこねるというのなら。
「やらせてやる…よ!」
襟ぐりを引っ掴んで。顔がぶつかりそうなぐらい引き寄せて窓からガラスごと叩き落として。飛び降りた。
どうして。言葉なく、全身でそう問われた所まではよかった。彼女の問いは至極真っ当なものだったから。前線に赴き、常にと言っていいほどの戦場を共に長らく闘ってきた。過ごした時間、空間。そこで培った信頼と紡いだ絆。それを一方的に断ち切ろうとしたのは私だ。なにも告げずに。疑問に思われても仕方ない。
怒るのも無理はない。どれだけ罵倒されてもなんらおかしくない。だというのに彼女は、ジュピターは。
あろうことか、自分を燃やせ、と言った。
ばきばきとやかましい音を立てて大木の枝を折りながら着地したにしては、随分と静かだった。片膝をつき、恐らくは着地した時と同じ体勢で、マーズはそこにいた。折れた枝と割ったガラス片がその周りに四散していたが、服にも体にもなんら傷はない。あっさりと投げられたとはいえさすが戦士。と言えないこともない。しかし戦士が、あんな馬鹿正直な攻撃を避けられもしないと言うのか。小細工も技術もないただの力任せの直線。不意を突かれたなんて言訳にすらならない。一歩前に出る。踏みしめた地面と足の間で、ごり、とガラス片が耳障りな悲鳴をあげる。必要以上に力を乗せた。が、しゃん。と、踏み砕いたガラス片をさらにがりりと地面にすりつけて、更に一歩前へ進むと、遮るようにぶわりと風が吹く。
「あなたというお方は…!」
フォボスかディモスか。その声がどちらだろうが誰だろうがどうでもいい。二人がとさかにきているのは見なくたって分る。威嚇を超えた痛烈な視線。不必要に舞い上がる風と極限まで開いた羽。主人を守るようにして立ち並んだ左右対称の体勢と、空気を震わすほどの両の手に集まるエナジー。あと一歩でも進もうとしたならなんの躊躇なく攻撃してくるだろう。上司、部下。主人の仲間、従者。そんなことはもう二人には関係ない。それはこっちだって、最初から同じこと。一瞬の光。驚きの表情すら出来ないまま二人は吹き飛びマーズはその瞬間弾かれたように地面を蹴り出す。目標物へと向かう最短のルート。正直すぎる直線。窓から叩き落としたその時から溜めこんでいた動作なしの雷撃で迎え撃つ。走る閃光はマーズの横をすり抜けて足止めにもならずに虚しく壁にぶち当たって散った。次の瞬間には軽い体重と重いエナジーに速度でよくのった拳が眼前に現れる。上半身を捩じり反らしてよけ、時間稼ぎと右手に収束させた雷を零距離で叩き込むべく体を戻そうと踏み込む。が、それを待たずに無理矢理上半身が引っ張られる。頭を髪ごと引き倒されたと気づいた時には地面と空が上下逆さまになっていた。どっ!と鈍い音と衝撃が背中に響き、慣れ親しんだ濃い土の匂い。衝撃は柔らかい草の葉が吸収してくれたおかげもあるが、それ以前に。視線を送ると相手はこちらに背を向けて倒れ込んだ二人に駆け寄るべく走りだそうとしている。びき、と音を立てたのは血管かそれとも地面か。半端に収束させたエナジーを力任せに投げつける。重量の無い雷球は誰にも当たることなく地面をえぐり、弾けた土と草が汚く混じり合ってばらばらマーズと二人に降りかかる。鳥の羽のように、逆立った髪がとぐろをまいてこちらに向き直る前に走った。
「マーズさまっ!」
痛切な金切り声が耳を刺す。みしみしと筋肉の軋む音をさせながらそれでも呼ばれた主人は事もなげに蹴りを受けとめていた。煮立った瞳の色は、それでも静かな夜半の色。守護神一の力にただ任せて足で細い腕を圧していく。ゆっくりと、しかし一瞬たりともゆるめず。ぎし、と嫌な鈍い音が離れた二人の耳にまで届いたのかばね仕掛けのように立ち上がり叫んで、声と体そのものをこちらへの罵倒にして駆ける。
「その足をどけ――!?」
驚き。戸惑い。
そんなフォボスとディモスの声を不審に思う前に、ジュピターとマーズはパレスから遠く離れた荒野の空へと投げ出されていた。
「派手ねえ」
まるで他人事の様な言い方と台詞に、マーキュリーは隠すことなく平たい筈の眉間に深い谷をつくった。月の智将。鉄面皮のブレーン。流れる血は青で体温は金属と等しい。一皮むけばその実態は驚くなかれ、機械仕掛けのサイボーグ。などと言われることもあるマーキュリーの表情は、冷たい。自身の氷よろしく相手を震え上がらせるどころかいっそそのまま砕きそうな様相だ。しかしのん気に呟いた四守護神の長であるヴィーナスは、この表情を自身の事務仕事を放りだしたり忘れたりやらかしてしまった時によくよく目にしているので、さして気にせず窓の向こうを見続けている。その上落ちた緑の雷と燃え上がる赤い火を目にしておおー、と歓声をあげながら優々たる動作で入ってきた扉を閉め、そのまま備え付けのソファに一人腰を落ち着けてしまった。それでますます突っ立っているマーキュリーの眉間に皺が寄るのだが、いつも通りのゆったりとした所作で、「座ったら?」とにこやかにすすめてくる。マーキュリーは眉間に今だ深い谷を作っていたが、室内に走った緑の光に一瞬眩しそうに瞼を閉じると、そのままヴィーナスには一瞥もくれずにソファに座る。ヴィーナス本人はそれを穏やかに見届けると、また窓に視線を戻す。上等なソファは女神を包むように小さく沈んだっきり、後は静かでいる。マーキュリーは黙ったまま視線を窓へ従わせた。
「クイーンのお手を煩わせて。何をやっているのかしら」
「喧嘩でしょう。若いっていいわね、情熱的」
即答する声はあくまでも明るい。楽しむ風ですらある。
「若さ情熱もいいけれど、困りものよ」
鋭角で、予想よりずっと低音。四守護神のマーズとジュピターが、お互いを殺しかねない争いをするなどと。
理由と事実はどうあれ、流れていく情報は口と視点を介して分解され曲解され拡大と誇大を繰り返した後、推測され想像され、真実とはかけ離れたものとなる。現在クイーンが結界を展開し、守護神以外の目に触れぬようしてくださっているが、ガラスの割れる音やジュピターの雷を見た者は何人か居るだろう。堅い忠誠心と口をもったフォボスとディモスは言いふらすことなどしようもないが、とかく噂という情報はその悪意のあるなしに関わらず広まっていく。そんな情報は不利益にしかならない。王国の兵、民の不安を煽ることにしかならないし、敵につけ込まれる格好の隙となりかねない。国交の場面においてもそんな不安材料を抱えた国は信用が得にくいし貿易にも支障が出る。そうなって笑いが止まらなくなるのは一部の商人とやたら戦争好きの者達だ。それについては対策を既にとってあるが、すべきことは他にもある。少なくともマーキュリーは、そう考えている。窓の向こうがめらめらと明るくなり、照らされたヴィーナスはそれでも動かず、口を開く。
「いつだって物事は、今その時のタイミングで起きるしかないわ。あとは、どう受けとめるかよ」
そう言って、ヴィーナスはおそらくかすかな微笑を浮かべたのだろう。見なくても容易に想像が出来る。一体その自信はどこから来るのかと、今すぐ問いただしたいほどに。ため息がついて出る。ついてから、当てつけ混じりで随分子供染みているなと思うが、マーキュリーはそのぐらい感情を出した方がいいと他の守護神全員が口を揃えて言うのだからよく分らない。ブレーンとしての役目を果たす為に常に冷静であれと思ってきたし、そう行動しようと努めているのに。計算が全てだとは思っていないが、構築し展開したそれがまるで効果をあげないとなると、果たして自分には一体何が残るのか。夜の空に光が弾け、また消える。
「…これをあなたは、いいことだと?」
色濃く残った声の剣呑さにも、もちろん、と即答された。
「でもあなたは逆に受けとってるみたいね」
非難の音声ではない。今日は天気がいいですねと言うような声と、同種。
「私は、状況と情報から予測しているだけ」
「そしてそのどれもが不安につながるのよね、あなたは」
そこまで言われて、マーキュリーはついに強い視線を送る。窓を見る目。すっと通った鼻筋。なだらかな頬。
結ばれた唇。そのどれもがいつも通りのヴィーナスだ。けれどその眼差しが、灯台の様に強く、雄大でいて。彼女が操る剣が放つ、黄金色の反射光のような。そこまで思って、脳が弾きだし当てはめた、真顔、という言葉の適当さに何故か感嘆したのも束の間、振り向いたヴィーナスは吹き出した。しかも、こらえきれずといった風に。「ヴィーナス?」
「ああ、ごめんなさいね。馬鹿にしたとかそんなんじゃないの。ほんと、あなたはあなたらしいなって思って」くすくすと笑うヴィーナスにマーキュリーやはり眉間に皺をよせる。怒りではない。ただ、不可解だ。ひとしきり笑い終わって気が済んだのか、それとも最初からそうしようと思っていたのか。やたら真面目な、毒気を抜いてしまう顔をして、それでいて穏やかにヴィーナスは続ける。
「ねえマーキュリー、『喧嘩』って、そんなに悪くないものよ。真正面からぶつかって言い合ってやりあうって、いいことだと思わない?確かにそれが原因で全部壊れてしまうこともあるけれど。でもやらずにああしとけばこうしておけばなんて、それこそ不毛じゃないかしら。それにこの国の四守護神なのよ?お互いちょっとつついてダメになるほどやわじゃないわ」
「――ちょっと、ね」
微かだが、けれどその地点では辺りを揺るがしているだろう轟音が遠いここまで届く。地を食らわんばかりの雷光。天を焼き尽くす火。これを、ヴィーナスはちょっとだと言うのだろうか。言葉も続けず、窓の向こうを見ることもしないマーキュリーを見つめ、ヴィーナスは立ち上がる。
「理屈ばっかりみたいに見えるけど、やっぱり二人が心配なのよね」
そうしてやはり、その自信は一体どこから来るのかと問いただしたくなる顔で、微笑んだ。
「医務室で待ちましょう」
差し出された右手を何も言わずにとったマーキュリーにヴィーナスは一度だけ頷き、歩き出した。
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ねこ
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2013-01-26T13:26:41+09:00
2013-01-26T13:26:01+09:00
2013-01-26T13:26:01+09:00
nominingen
内部
ぽん、とネタが浮かんだのでつらつら。
やっとブログにあげられる話が出来ました。
亜美ちゃんとみんなと猫のお話。
連れられた雑貨屋さんで、あるいは路地裏、誰かの家の窓や公園のベンチ。
それらしい姿が見えるとつい視線を向けてしまうのはしなやかなあの曲線、
宝石のような瞳に、するりと滑る尻尾。
人と比べ小さなあの体が、何倍もの高さのある木や壁や建物から降りる瞬間、
頭しか入らないような隙間にいとも簡単に体をいれる、あの柔らかさ。
それに初めて触れることが出来たのは、両親とある小道を歩いていた日だった。
なんの前触れもなく現れたその猫は、私を見ると調べるようにピンクの鼻をひくひく震わし、
にぃ、と一つ鳴いて近付いてきた。
戸惑う私の指を丸い瞳が見つめて、小さな額でこつりと軽く打つ。一回、二回、三回。
どうしたらいいのか分からずに両親を見上げると二人とも微笑み、猫が瞳を細めてようやく、私は手を伸ばした。
大きな耳、その後ろ。耳も柔らかくて、それからぴくぴくと動き、中も綺麗なピンク色をしていると知った。
家の毛布よりすべすべしていて、それに温かい。少ない力でも押せばどこまでも沈んでいきそう。
けれど筋肉のみなぎる力はやわくはっきりと指を押し返す。
すごい。すごい。
首から顎へと指が移動しようとした瞬間、するりと猫は私の手を離れた。
声をあげるまもなく、猫はにぃ、とまた一つ鳴くと、どこかへと行ってしまった。
行っちゃったね、というパパに、うん、と言いながら私はじっと手を見ながら、空に散っていくあたたかさと感触を覚えようと必死だった。
帰りましょう、とママに手をひかれながら、また会えるだろうかとそればかり考えた。
私が初めて本の外で会った猫は、そんな風に突然現れて、突然消えていった。
「亜美ちゃんてほんと猫が好きなんだね」
丁度春の陽気のようなかろやかな声に、はた、と気付く。
一緒に買い出しに来たみんなと距離が離れて数歩。
立ち止まらなかったものの路地裏にごろりと寝転んだ猫に気を取られて歩くのが遅くなっていたようだ。
「ご、ごめんなさい、つい」
冬は寒く、日も落ちるのが早いからと早め早めの買い出しと帰りを提案したのは自分なのに。
その言葉にぷるぷるとうさぎは首を振り、んーん、と人好きのする顔で笑う。
ただほんとに好きなんだなー、って、と続けたうさぎの言葉にうんうんと全員が頷く。
特に隠すことなく猫が好きだと言っているけれど、そんなにしみじみ頷かれるほどだろうか、
と亜美は苦笑する。
勉強会も兼ねた神社でのお泊まり。朝から神社にお邪魔をして、勉強をして、それから夕飯の買い出しに五人は来ていた。
ルナとアルテミスはお留守番。必要なものから、そうでもないもの、好きなお菓子や、他愛ないおしゃべりをしながら終えた買い物の帰り。
視界の端にうつった特有の動きとその形状を目で追ってしまった。
遅くなるのもいけない、そう思って距離を縮めようとすると、むしろみんなの方からこちらに近づいてくる。
私を囲むように立ったみんなは路地裏を覗いて、可愛いねー、気持ち良さそー、黒猫だー、とそれぞれ感想を述べる。
どうやら帰る事より猫の方に意識がシフトしてしまったらしい。
うさぎは屈むと誘うように手を出す。
「おいでおいでー」
その声が自分に向けられたものだと分っているのかいないのか、猫は変わらず動かない。
「ありゃ、振られちゃった」
ぱたり、と手を力なく落とし引っ込めたうさぎにまあまあ、
と励ますようにまことは笑うと、あれ?と首を傾げる。
「でもしっぽ振ってる…ていうか、なんか地面にぺしぺししてる」
「本当ね」
どうしたのかしら、と続けるレイに、それって、と美奈子がにこやかに答える。
「しっぽでお返事してるのよ。聞こえてるよーって」
「昨日のテレビでやってたやつ?」
「あら、うさぎちゃんも見てたの?」
「うん。でも途中から進吾のやつが――」
あ。と言う間に猫は起き上がると路地裏の影へと向かう。壁からするんとのぞいた尻尾は黒と、たぶん白の二本。
それで納得がいく。
「どうしちゃったのかなー突然」
うさぎの言葉に、亜美は殆ど思考せず答えていた。
「あの子、呼ばれたんじゃないかしら」
小道へ行った。ママと一緒に。
小道へ行った。パパと一緒に。
小道へ行った。ひとりで。
小道へ行った。三人で。いつもの歩く速さで、通り過ぎた。
小道へ行った。もう一度ひとりで。
待った。もうすこし。あとちょっと。もう五分。十分。二十分。三十分。
パパとママを心配をさせる前に、帰った。
タイミングが合わなかったのか、遠くへ行ってしまったのかは分らないけど。
猫にはもう、会えなかった。
自分のものより温かい体温を側に感じて、亜美は顔をあげた。
左隣を見ると自分を心配そうに見上げるルナがいた。
どうやらぼんやりしていたようだ。大丈夫?と小首を傾げるルナに、ええ、と笑顔をつくって返す。
体調が悪い訳ではない。かといって、重大な思索に耽っていたという訳でもない。
少し昔を思い出していただけなのだ。
そう?と深くは問わずにルナは、それじゃああたしアルテミスの手伝いがあるから、とレイの部屋に戻っていく。
妖魔のデータをまとめる作業。本来なら私も手伝うのは当然なのだけれど、
亜美は美奈子とうさぎがはしゃぎすぎないか見ててくれないか、とアルテミスに頼まれていた。
その気遣いに素直に甘えることにして、私は焼き芋を焼くみんなと一緒にいる。
秋の陽に照らされて深紫に近い黒い体のあちこちが、赤紫色の光にきらきらと点滅する。
その輝きと、なめらかな肌触り。猫がビロードとよく表現されるのはその為なんだろう。
綺麗だな、と思っていると、空を滑るように降りてきた黒が二つ現れる。
二三大きく羽ばたいて、ふわりと一直線に、レイの下へと着地する。
フォボスとディモスだ。二人ともどうしたの、そう言いながらレイは左手で二人を撫でる。
小さな頭をその手にくり、とすりつけてくる動きに、くすぐったそうにレイは肩をすくめて、
それから私の視線に気づき、どうしたの?と不思議そうに小首を傾げる。
言われて、ええと、と少しどもる。後ろめたい事でもないのだけれど。
嘘をついても仕方ない。
「…羨ましいなって」
きょとん、とレイは目を丸くした。予想していたけれど、やはり驚かれた。
「あたし?」
自分自身を指さしたレイに頷く。レイの言葉は正確ではないが、正解だから。
それでますます首をひねるのも当然だろう。あまりにも説明不足だ。
考えて、遠回りに聞こえるかもしれないと思ったが、意を決し口を開く。
「…私ね、猫の言葉が話せたらって思った時があったの。
そしたら猫とお話出来るのにって」
あら、素敵じゃない、そう言うレイに、亜美は控え目に微笑む。
そう、素敵だ。猫の言葉が話せたのなら。話が出来たのなら。
けれど、どこを探しても猫の言葉を話せる人間はいなかったし、本も存在しなかった。
少なくとも、幼かった私の手の届く範囲には。
増えていく知識とともに、人同士でさえ沢山の言語があると知った。
一生かけて学びきれるかどうか。そう感じるほどの数。
今自分が使う言語に限定したって、響きの多彩さに目も眩むような錯覚を覚える時もあるのに。
最先端の研究が、猫の言葉の大意を掴んだとしても、今だ人は猫の言葉を話せない。
「うさぎちゃんと出会って、ルナと話をして。
それが嬉しかった反面、私はやっぱり猫の言葉を話せないのねって思ったわ」
ルナは猫で、私と話が出来る。
けれどそれは私の使う言語を、彼女が使ってくれているからだ。
レイは、カラスの言葉を話せる訳ではない。フォボスとディモスも、私達の言葉を話せる訳ではない。
でも、と。レイに自身を吐露して尚更素直に、亜美は羨ましいと、思う。
「レイちゃん、二人の気持ちが分かるでしょう?」
例えばお腹が空いたとか。そんな些細なことから、悲しむレイに寄りそうことまで。
彼女がフォボスとディモスを、二匹と呼ぶことをせずに。
二人と呼ぶことが、何よりの証拠だと、そう思う。
ふわりと目の前に流れてきた枯れ葉の煙を辿ると、その先にはまことがいて、美奈子がいて、うさぎがいる。
率先して枯れ葉の中をつつくまことの格好はジーンズにジャンパーだ。
焼き芋をやろうと事前に聞いていたから、彼女はスカートではなく動きやすいそれを選んだのだろう。
いつものようにスカートを履いた美奈子はさりげなくうさぎを火の近くから遠ざけ、
うさぎはまこちゃん代わろうか?と、聞いている。
亜美は目を細める。眩しいと、思った。
もし私が、猫の言葉を話せたら。
またねって。この小道でって。あの子の言葉で言えただろう。
話せなかったとしても。
ほんの少しでも、自分に。レイのような、いや、みんなのような。
相手の気持ちが分る、そんな力が、あったのなら。
けれどそれは所謂、ないものねだりなのだろう。
ごめんなさい、こんな話。
そう言おうとした亜美が口を開く前に、ほんの少し眉を寄せたレイが笑う。
仕方ないなぁ、と怒った彼女がうさぎを許す一瞬前の柔らかい表情とよく似ていて。
「確かに、難しいのかもしれないけど」
そう言って区切る言葉と、表情が。
ほんの少しだけ遠慮がちなのは、気恥ずかしさから普段は隠そうと努める彼女の優しさからだ。
「でもそれって、亜美ちゃんが思うほど難しくないわ」
相手を分かろうとして。伝えようとして。
そうすると、なんとなくでも分かるし、伝わるわ。
寄りそう二人を、レイの指がゆるくなでる。二人の思慕と、信頼に、それ以上のいとしさが込められているような。
「それに、あたしよりそういうのが得意なの、近くにいるでしょう?」
レイの視線の先。いつも私達が集まる、その中心。いつでもあたたかく迎えてくれる、中心。
それは信じる努力のいらない答え。
空いていたレイの右の五指が一緒になって、猫の瞳のように丸くあたたかい手のひらへと変わり、
それから私の頭の上へと置かれる。
そのまま形に沿うように動いて、そして髪を梳くように指が櫛のようになって、猫みたいに柔らかいのね、
とレイが笑う。
温度と、それ以上の思いやりが込められた手だった。
ふとこちらを見たうさぎが、声をあげる前に。
少し煙が目に染みたのだと、亜美はほほ笑んだ。
おいしいごはんも、あったかくてふわふわの毛もなかったのに。
どうしてあの子は私のところに来たのかな。
パパはそうだなあ、と少し考える。それから、亜美はどう思う?と私にきいた。
私は考える。考える。でも、答えは出ない。分らない。
ママもそうね、と少し考える。
それから、猫さんに聞いた訳じゃないけどね、と私を見つめた。
亜美は困っていた。
「みんな!遅れてごめ――「「「しーっ!」」」
遅れてきたうさぎに反応も出来ず、三人が口を揃えた静かに!の言葉に苦笑しか出来ない。
膝の上には猫。待ち合わせに早く来過ぎて、本を読んでいたら、いつのまにかいて。
まことに声をかけられて、やっとそれに気づいたのだ。
「かーわいいー…!」
「亜美ちゃんあたしが来るまで気づかなかったんだって」
「すごい集中力よね、ほんと」
「そういうの、一心ふりんって言うのよね」
「いや不倫はダメだよ美奈子ちゃん」
あれ?違う?、違う違うそれにやっぱり一人の人をさ…そんなテンポのいい会話が続いて言葉の間違いからどんどん離れていく。
正しくは一心不乱、と正解が頭に浮かんだが機を逃した上に碌に身動きがとれなくて、
いよいよ亜美は困り果てた。
このあとみんなでおでかけするのに。予定していた電車の時間も近づいているし、そろそろ足も痺れてきた。
それにやっぱり、みんなの意識が当初の目的からずれていっている。
いつ切り出そうかしら、そう悩み始めると、うさぎがふわりと亜美に微笑んだ。
いつかの、母のように。
「きっと亜美ちゃんのこと好きなんだね」
『きっと亜美のことが好きだったんじゃないかしら』
鮮明な今と薄れていた過去が重なり、現れて。
丸い瞳を細くしてひげを震わせた猫が、にぃ、と鳴いた。
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2013
http://nominingen.exblog.jp/19509250/
2013-01-10T22:06:00+09:00
2013-01-10T22:10:31+09:00
2013-01-10T22:07:03+09:00
nominingen
雑記
ブログは相変わらず休止中ですが、今後の活動だけ覚書程度に。
あとツイッターだいぶまえにはじめました→駒野名義ですほとんど内部かわいい言ってるかメモ多め
セラ/ムンオンリーには何か諸事情が発生しない限り参加いたします。
当日には既刊の「Hello.my friends」+新刊が出せるといいなー…と思っています。
出す本は内部太陽系5人の本を予定しております。
内容はまだ全て書き終えていないので詳しくは書けませんが、五人全員出ることは決まっています。まあ書けたらですが…
それと某お二方向け&自分の趣味前回で書いた前世内部太陽系の文に、
相方よりGoサインが出たので、本になる…かもしれません。
ブログをこまめに更新出来てないので、せめてオフでどばっと文章出したいす…
それはさておき誰か私にセラ/ムンの話(妄想、ネタ、感想、考察)くださ…
以下昨年のまとめ
去年は急遽はまったセラ/ムンという作品のおかげでものすごくオンオフ共に充実した一年でした。
たくさんお話をして下さるセラ/ムン好きの方々とお知り合いになれました。
自分の書いた文章が好きと言って頂けました。
活動では出した本以外にも、遅筆の駒野には珍しく量を書いたなー…と少し思えるほど書いたり(内容がアレなのでここには載せてませんが)、
絵をはじめてみたり、動画の編集してみたり、着色してみたり、
とにかく作品にはまったことで新しく始めたものが沢山です。
ただただセラ/ムンってすごいなー、とあんぐり。]]>
12月
http://nominingen.exblog.jp/19301709/
2012-12-02T22:53:04+09:00
2012-12-02T22:53:21+09:00
2012-12-02T22:53:21+09:00
nominingen
お知らせ
今年も残すところあと一ヶ月となりました。時間の進み方が早すぎていつもびっくりしています。
で、お知らせなのですが、今月よりオンラインでの活動、オフ活動の進捗具合のご報告など含め、
更新があまり出来ない状態となっています。
私生活のごたごたが収まるまでちょっと見通しが立ちません。
ちらっとこちらを見て下さる方には申し訳ないのですが、一時休止とさせていただきます。
とはいえ、来年のセラ/ムンのオンリーには出たいと思っています!というか出る!(予想外の事態が起こらない限り)
私生活のごたごたがありつつも原稿はやりたくて、もうとにかく内部五人が可愛いので。
たまに近況報告、妄想、散文、練習の絵やらがあがったりするかもしれませんが、
その時は生あたたかく見て頂けたら嬉しく思います。
それではノシ]]>
原稿
http://nominingen.exblog.jp/19195001/
2012-11-11T23:54:48+09:00
2012-11-11T23:54:56+09:00
2012-11-11T23:54:56+09:00
nominingen
雑記
やっとります。とはいえそんな進んでないのでなんとも…ですが。
来年にあるセラ/ムンオンリー用の原稿で、今回は五人全員を出したい!という目標でやっています。
どんなものになるかはまた本になってからお知らせしたいと思っていますが、
相も変わらず私が書いてて楽しいもの、というのが土台にあるので誰得な内容。
しかしかなりつまって今はあんまり出てない状態ですうひいー。
二次創作は公式と違うってのは当り前の話なのですが、
それでも好きになったあの子達(公式の軸、許容されるブレの範囲内)を描きたい気持ちと、
でも自分の好きなもの(妄想、ネタ、話)を描きたい気持ちがぐるぐる。
しつつも決して手を出すまい、と思っていたカードダスに手を出したりしています。
ほんと内部五人なんであんな可愛いんでしょう!ね!
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不在証明
http://nominingen.exblog.jp/19048523/
2012-10-16T20:00:15+09:00
2012-10-16T20:00:11+09:00
2012-10-16T20:00:11+09:00
nominingen
内部
もう10月だなんて信じられない。
駒野です。うんせうんせと色々やってます。
やっぱりあんまりにもなんもないので、しぶにあげてたssをこちらにも。
ちょちょっと検閲もしたので、しぶを知ってらっしゃる方は比べてみると間違い探しが出来ます。
前世のお話。薄暗いのでご注意を。
――笑わないできいてほしいの。ちゃかすのもだめ。
――今から言うことは、大事なことよ、とっても。
――マーズのお祈りも、
ジュピターのお仕事も、
ヴィーナスのお話合いも、
マーキュリーのお勉強も、もちろん大事だけど。
――それよりも大事なことよ。
――だからもっともっと、みんないっしょによらなくちゃいけないわ。肩と肩がふれあうくらい。
――ねえ、よく聞いていて?
私は信じていました。
46億年の軌跡。そこから産まれた生きものすべて。
天文学的な数字を更に二乗し、重ね、爪先に乗る一粒の砂を集めたような確率の奇跡。
そこにあるものが、あってしかるべきもので、たとえ今すぐに理解を出来なくとも、
そこになんらかの意味と必要とがあり、
消えていくものも、消えてしかるべきもので、たとえ今すぐ納得が出来なくとも、
そこになんらかの意味と、必要とがあり。
私は信じていました。
あなたがそうしたように、あらゆる手段を用い、
言葉にし、ふれて、なでて、伝えたなら、思いは届くと。
空に舞うは地球の王子と、月の姫。
くるくると踊るように、重力の法則に従う。
そして地に落ちる。
王子も姫も。兵も民も。何人たりとも。星すら逆らえぬ法則。
青い水晶のように輝く星を、銀の光で導き、見守りつづけるはずだった女神よ。
わたしはつみをおかしました。
あたえられた使命を、責務をまっとうできず。
護ることも闘い抜くこともできず。
ただ木偶のように立ち唖のように黙り唇も手も震わさず。
粗悪な造りの人形のようにもつれた体が、粗末な人形遣いに吊られたように投げ出された手が、
粗雑に傷つけられた胸の真ん中からあふれる血汐が、王子の頬に染み込んでいくのを見ながら。
駆け寄ることもせず。すがることもせず。泣き叫ぶこともせず。
思考の波で埋め尽くした頭と喪失していく感情の中で。
私はこんわくし、といかけました。
なにが。なぜ。どうして。
あなたが。あなたさえいれば。
あなたさえ。こんな。こんな。
でくのように立ち、おしのように黙り。
震える世界を見ながら。
髪と額と頬と鼻と眼を潰すようにして手をあわせた私の声は、
ねえ、本当に、あなたへと届いていましたか。
――私、ほんとのほんとうに、あなた達が大好きよ。]]>
リサイクル
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2012-09-22T11:47:17+09:00
2012-09-22T11:46:50+09:00
2012-09-22T11:46:50+09:00
nominingen
内部
ブログにあげられるネタもssもなかったので、
ssにすらならなかったボツをリサイクルとして二つほど。
私の言い訳と解説つきなので気になった方だけどうぞ。
1
もし彼女が、感情の発露を思うままに出来たのならどれだけ良いのだろう。
好きなだけ泣いて、喚いて。ぶつけて。それで解消出来たなら。
しかし彼女はそうしない。ただ眉を寄せて、唇を噛んで、拳をつくって、背を向ける。
過去の経験と彼女自身の意思とがそうさせているのか。あるいは。あるいは。
いくつもの仮説が浮かんでは消え、浮かんでは消え、結局は密かに眉を顰め、溜息を吐いた。
自分のちっぽけなものさしで、彼女の何が測れるというのだろう。
泣いて喚いて。彼女が心を許し、なにもかもぶつけられるその対象が、自分であって欲しいだけだ。
それで彼女の気が晴れるとも限らないのに。
内部CP要素もの。最後まで名前を出さずにその子っぽくできるか?
また↑の「彼女」が誰なのかを読み手が想像出来る楽しみを書き手が書けるか?
という試みのもと書き始めたのですが途中から語り手が誰だか分りにくすぎるし薄暗い方向になってくし
そんなにこの発想が表現したいことと合致してないように思えて結局ボツ。言い訳と解説のが長いよ!カス!
2
今日はみんなそろって神社にお泊まり会だ。
時間は大体五時ぐらいに集まろうってみんなで決めた。
で、今神社に着いたあたしの腕時計が指し示すのは正午。
鳩が豆鉄砲くらった顔を遥かに通り越して豆鉄砲をくらったカラスがものすごい勢いで威嚇してるような顔で
あたしを出迎えてくれたのはもちろんレイちゃんだった。
色んなのが込められた視線の矢をかわしつつ、あたしはレイちゃんのめずらしい格好に話題を振る。
「こんにちはレイちゃん。今日はどしたの?」
いつもの巫女装束なのだけれど、今日は髪を結っていて、
おまけにおみくじみたいな白い髪飾りがついている。
なんていうか、これぞ巫女さんって感じ、と言うと軽く息をつかれて、
それからレイちゃんの眉間のしわがとれた。
聞くとこれから外におじいちゃんと一緒におはらいに行くらしい。
新しくビルが建つ予定で、今年から工事を始めたのだけど、なんでもやたら事故が起きる。
その中には誰かに手を掴まれたーとか、肩押されたーとか、透けた人影を見たーとか、そんなのもあるらしい。
悪い幽霊かなにかがいるんじゃないかってことで、突然神社に依頼が舞い込んできたと。
そうシンプルに説明してくれたレイちゃんは、で?と片っぽの眉だけあげる。
「美奈はどうしてこんな早くからうちに来たのよ」
家にいても母親が勉強しろとうるさいので早めにきたと素直に告げると、深い溜息をつかれてしまった。
それでも帰れと言わずに家にいれてくれるあたり、レイちゃんはやさしい。
言うと照れて怒るだろうから黙っていたら、なににやにやしてるのって怒られたけど。
なれた手つきで準備する姿に、あれ?と首をかしげる。
「持ってくの、弓だけなの?」
「それがどうかした?」
振り返らずに準備し続ける手には弓。
しかも以前部活で使っているのだと言っていたそれとはどこか違う雰囲気だ。
おはらいのことはよく分らないが、弓は矢があって初めて揃ったもんじゃないんだろうか。
ええと、なんだっけ、あの変わった形の矢。
「はま矢、だっけ?とかも、いいの?」
「必要ないわよ」
闘いに行くとは違うんだから、と続けた霊にますます美奈子は首を傾げる。
悪い霊を退治にしに行くんじゃないの?
違いがよくわからない、とうなるあたしをよそに淡々と用意しながらレイちゃんは説明する。
「悪意を払うと「祓う」は別物なのよ」
「ふーん…」
とりあえずの相づちを打つ。レイちゃんはそれ以上説明する気はないようで、
あたしも深く聞こうって気にはならなかった。
たぶん、聞いてもよく分んないだろうし。
そうこうしてる内におはらいの準備は大体終わったらしい。
レイちゃんは今度は家のちょっとだけ残った片づけごとをし始めた。
あたしはおはらいと連想して、ぴんと浮かんだ思い付きを背中に投げる。
「ね、夜は百物語でもしよっか?」
「よしなさいよ。うさぎがぴーぴーうるさくて朝まで寝れない羽目になるわ」
「ちぇっ。ねーねーレイちゃん、帰ってきたらなんか怖い話ししてよ」
「どうしてあたしが。怪談なんて本でもテレビでもあるでしょう」
どうせならおじいちゃんの貸してあげるわ、案外好きで集めてるし、とやれやれと肩をすくめる。
「本とかテレビなんてみんなつくりもので飽きちゃったんだもん。
レイちゃんだったら色んな話知ってそうだし」
あのね、とレイは眉間にしわを寄せる。
「怪談なんてそれこそつくりものでしょう。それに…」
「それに?」
首をかしげると、レイちゃんは黙ってしまった。怒らせちゃったかな、とも一瞬思うが、
それにしては何か考えているようで。
どしたの、と聞く前に、おーい、とおじいちゃんの声。どうやらもう出る時間が来てしまったらしい。
レイちゃんの顔がぱっと切り替わる。
きれいな口元がきゅっと結ばれて、紫の瞳が強く輝く。表情が大きく変わった訳でもないのに、
醸し出す雰囲気はがらりと変わる。
こういうの、仕事の顔って言うんだろうか。
そんな事を思っていると、レイちゃんは弓を携える。
本なら奥の部屋にあるから勝手に読んでいいわ、
おじいちゃんそんなに整理してないから別に気にしなくていいから、
とにかく大人しくしてなさいよ、
と主に最後の言葉に力を込めて早々に出て行ってしまった。
夏らしくセオリー通りの、小泉八雲のような怪談というものを何故か書きたくなったので書き始めたもの。
しかし肝心の怪談部分がどうも面白くならず、ぱっと浮かばずボツ。
あとホラー自体そこまで詳しくもなかったのでそもそも引き出しがなかった。無念。引き出し作れって話ですね。
加えて内部全員仲良しだぜははーん!っていうのもやりたかったけれどこれ他の子どうやって出すんだよ
…と路頭に迷う。アホ。]]>
メモ
http://nominingen.exblog.jp/18851232/
2012-09-13T20:11:00+09:00
2012-09-13T12:06:04+09:00
2012-09-13T12:06:04+09:00
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雑記
ツイッターだと字数が足りない自分用のメモ。
特に内容がないよう。
なので気になった方だけ閲覧推奨。
台詞を打つ時の留意点。
文章として読みやすいか、それとも口語や音の表現を追求するか。
サターンの立ち位置をもっと考える。
原画集での武内先生のコメントを読む限りでは対。
彼女一人だけが、カルテットの本質に気づいていた模様?
タリスマンはシルバーミレニアムが作り、外部太陽系三戦士に与えた、ということでいいのだろうか。
そもそもタリスマンが生みだされたのはいつなのか。生みだしたのはなんなのか。
彼女が滅ぼす対象は、いったいなんなのか。
あとアニメでは傷治す描写あったっけか…
地場さん原作で自分の怪我を治しているけれども、
あれは自分の体の治癒能力を急速に高めているのか、それとも特殊な力を持っているのか。
それとも地球自体からなにかエネルギーをあつめ、癒す、という力に変換しているのか。
持っているなら、癒しの対象は自分だけでなく、他のものに向けることが出来る訳だけども。
とかつらつら考えてますがこれ私の勝手な妄想がいつ暴走するかと気が気じゃない。
ああでももう暴走して捏造してるか…
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原稿
http://nominingen.exblog.jp/18824448/
2012-09-09T21:50:27+09:00
2012-09-09T21:50:24+09:00
2012-09-09T21:50:24+09:00
nominingen
雑記
書くことなければあげられるものもないので、
原稿の進捗具合でも。
全体の五分の二程度すすんできました。はてさてこれからどうかなるか…
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Re
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2012-09-01T01:15:23+09:00
2012-09-01T01:15:04+09:00
2012-09-01T01:15:04+09:00
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内部
あるボツ文章から一部分をぶったぎって再構築して短文に再利用。
いつものみんな。とても文章もタイトルも短い。
よろしければどうぞ
縁側でルナとアルテミスがひとときの午睡を楽しむ、いつもの平和な神社。
いつもの集まり。いつもの勉強会。
が、しかし今日に限って一人だけは遅れてきていた。
みんなとは違う問題集を決めていた分だけ亜美は解き終わると、
気づかない間にほんの少しずり落ちていた眼鏡を直して、目の休憩がてら部屋に視線をやる。
この部屋の主であるレイは学校の課題を一生懸命にやっていた。
勉強会を始める前、いつもより憂欝そうに取り組もうとしていたから、聞いてみると、
苦手な現代社会なのだと言う。
もう見るのも嫌、と言わんばかりの顔だったけれど、それでもこちらに助けを求める訳でもない。
頭を悩ましながら自分の力でやり遂げようとしているのが見て取れた。なんともレイらしい。
それで、と視線を動かす。
一人はペンで頭をかき、むうと唇を突き出しながらじっと問題を見てはいるが、
切れかかった集中力に比例するように赤いリボンがしょげている。
もう一人はうう、とうめきながらも問題を見ては恋しそうに空中を見つめる。
そうして幸せそうに顔を緩ませたかと思うと、ぶんぶんと勢いよく長いツインテールを振って、
またふりだしに戻るといった所か。
そろそろ限界かしら、と亜美は小さく笑う。
いつもなら、見かねた彼女が休憩だと言って手作りのお菓子を取り出している頃なのだけれど。
ね、と遠慮がちに口を開く。察した二人はぱっと笑顔を浮かべて、一人はもうそんな時間?と驚いて。
私は彼女と目を見合わせて、笑う。
私は瞼を閉じ、そして再認識する。
日々の時間に埋もれる事実。
たとえ一時忘却の波に隠されたとしても、消えることのない事実。
「――ごめんっ。遅くなって」
「「まこちゃんっ!」」
声に瞼を開けると、そこにはやっぱり笑顔を浮かべたうさぎちゃんと美奈子ちゃんがいて。
甘いお菓子の香りに歓声をあげた二人を見て、やれやれと肩を下げ、微笑むレイちゃんがいて。
そして私は、二人に挟まれたまこちゃんと目を見合わせて。
ペンを置き。本を閉じて。眼鏡を外し。
勉強は一旦おしまいにして、さあ。
「お茶にしましょうか」
と、五人みんなで、笑った。
一人でも欠けると、いつもじゃなくなるんだよねって、
一人で頻繁に再認識してるといいなー、と]]>
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