オンリ新刊サンプル
月華遊星3の新刊サンプルです。
白手袋にゲストお二方をお迎えさせていただいた合同誌となります。
その名も「Present for you!」

あみだくじで担当キャラ、ジャンルを決め、
駒野はレイちゃん、ジャンル自由と相成りました。






レイちゃん。

ってたった一回呼ぶだけで、レイちゃんという人は相手が何を思っているか分ってしまうらしい。

たとえば亜美ちゃんが水たまりに気づかないレイちゃんを、レイちゃんって呼び止める。
すると立ち止まって、振り返って、それから足元を見て、ああって納得してありがとう亜美ちゃんって言えちゃう。

それからまこちゃんが甘さ控えめ新作クッキーの包みを、
はいレイちゃんって渡す。
するとみんなよりちょっとだけ大きな包みを見て、
中身がまだ分からないのにフォボスとディモスにもあげていい?って聞く。
まこちゃんがそのつもりだったって笑うと、嬉しそうにありがとうまこちゃんって言えちゃう。

そして美奈子ちゃんがちっちゃな袋を掲げて、
お掃除中の背中にねえレイちゃんって声をかける。
するとレイちゃんはちょっと待って、ってお掃除にひと区切りつけて、
美奈子ちゃんと一緒に悪戯っぽく笑いながら、一足先にマドレーヌを食べつつみんなにお茶を淹れてきちゃうのだ。

そんなレイちゃんに、もしかしてレイちゃんってえすぱーとかちょーのーりょくしゃ?って聞いたことがある。
するとレイちゃんはため息ついて、なに言ってんのよ、って心底呆れたように言ったっきり、お掃除に戻っていった。

つまり、いちれんのけつろんから言うと。

レイちゃんはあたし、月野うさぎ以外の相手がたった一回呼ぶだけで何を思っているか分ってしまう人なのだ。



「そんなこと、ないんじゃないかしら」

そう言ってうーんと眉を寄せて困ったように笑う亜美
ちゃんに、うん、とまこちゃんも美奈子ちゃんもルナもアルテミスもみんな深―くうなずいた。

「いやぜったいえすぱーだって亜美ちゃんっ」
「や、そっちじゃなくて」

ぺし、って空中にまこちゃんがつっこみをいれると美奈子
ちゃんがえっとね、って説明してくれる。

「レイちゃんって確かにあたし達の気持ちを分ってくれる   
 っていうか、くんでくれるのがとっても上手よ。
 でもそれはうさぎちゃん以外って言うか…」

途中まで言いかけて、美奈子ちゃんは小さくみんなに
「これ言っていいと思う?」と聞くとみんなはううーん…と難しい顔をして明後日の方を見たり床を見たり目をつぶってしまった。
隠し事って訳じゃないだろうけど、こういうのがいっちばん気になる訳で。
とりあえず一番難しそうな顔で悩んでいる亜美ちゃん!の膝で完璧に油断していたルナを抱きあげる。

「い、いきなりなにうさぎちゃん」
「どーいうことか説明してよルナ」

ぴくぴくふるえるルナの口につられて猫のひげがびよんびよんとはねる。
視線を逸らそうとするルナにぐいぐい、顔がぼやけちゃうぐらい迫っていくとばたばた肉球としっぽが暴れる。
ええいこのごにおよんで観念せいっ。と、だっこした手をわしゃわしゃ動かしてやる。

「ちょ、あはっ、う、うさぎちゃんっ。
 やめ、やめなさいこらっ」

そう叱ったルナの声はすぐに笑い声に変わってしまってなんにも怖くない。むっふっふ、と悪代官さまよろしくに口のはしをつりあげると、ひく、とルナの口がひきつる。

「さあかくごはでき――」

言いかけたあたしの手からひょい、とルナが救出され、目を丸くした所で聞き慣れた声がふってきた。

「なにルナいじめてるのよ」

噂をすればのレイちゃんは、言い終わるとあたしに向けてたつめたい視線をやわらかくして大丈夫?とルナに微笑む。
レイちゃんって人はなんでこういう時に限ってっていう時に現れる人なんだろう。
やっぱり絶対えすぱーだ。だってルナが好きなとこなでてるし、嫌がらないだっこの仕方もしてるし。って。

「あたしルナのこといじめてないもんっ」
「よく言うわよ、ルナ嫌がってたじゃない」
「だってそれはルナっていうかみんなが…あ、ねえみんなやっぱりレイちゃんって、」
「よーしレイも来たとこだし会議にしよう!」

アルテミスの一声で、みんな、そうねそうしましょうそうだそうだって、会議モードになってしまった。
レイちゃんも待たせてごめんね、なんてみんなに素直に謝っちゃってあたしの方を見ることもなく真剣な顔つきでアルテミスを見つめる。
こうなってしまうといくら横で喚こうが叫ぼうが、静かにしなさいって叱られちゃうだけだから。
納得は全っ然いかないけれど、しょうがなくあたしは会議の間寝てしまわないように必死に集中することにした。
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by nominingen | 2013-06-16 20:50 | お知らせ


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