不在証明

もう10月だなんて信じられない。
駒野です。うんせうんせと色々やってます。
やっぱりあんまりにもなんもないので、しぶにあげてたssをこちらにも。

ちょちょっと検閲もしたので、しぶを知ってらっしゃる方は比べてみると間違い探しが出来ます。


前世のお話。薄暗いのでご注意を。










――笑わないできいてほしいの。ちゃかすのもだめ。
――今から言うことは、大事なことよ、とっても。
――マーズのお祈りも、
   ジュピターのお仕事も、
   ヴィーナスのお話合いも、
   マーキュリーのお勉強も、もちろん大事だけど。
――それよりも大事なことよ。
――だからもっともっと、みんないっしょによらなくちゃいけないわ。肩と肩がふれあうくらい。
――ねえ、よく聞いていて?



私は信じていました。


46億年の軌跡。そこから産まれた生きものすべて。
天文学的な数字を更に二乗し、重ね、爪先に乗る一粒の砂を集めたような確率の奇跡。
そこにあるものが、あってしかるべきもので、たとえ今すぐに理解を出来なくとも、
そこになんらかの意味と必要とがあり、
消えていくものも、消えてしかるべきもので、たとえ今すぐ納得が出来なくとも、
そこになんらかの意味と、必要とがあり。

私は信じていました。

あなたがそうしたように、あらゆる手段を用い、
言葉にし、ふれて、なでて、伝えたなら、思いは届くと。


空に舞うは地球の王子と、月の姫。
くるくると踊るように、重力の法則に従う。
そして地に落ちる。
王子も姫も。兵も民も。何人たりとも。星すら逆らえぬ法則。

青い水晶のように輝く星を、銀の光で導き、見守りつづけるはずだった女神よ。

わたしはつみをおかしました。

あたえられた使命を、責務をまっとうできず。
護ることも闘い抜くこともできず。
ただ木偶のように立ち唖のように黙り唇も手も震わさず。

粗悪な造りの人形のようにもつれた体が、粗末な人形遣いに吊られたように投げ出された手が、
粗雑に傷つけられた胸の真ん中からあふれる血汐が、王子の頬に染み込んでいくのを見ながら。
駆け寄ることもせず。すがることもせず。泣き叫ぶこともせず。
思考の波で埋め尽くした頭と喪失していく感情の中で。

私はこんわくし、といかけました。

なにが。なぜ。どうして。
あなたが。あなたさえいれば。
あなたさえ。こんな。こんな。

でくのように立ち、おしのように黙り。
震える世界を見ながら。

髪と額と頬と鼻と眼を潰すようにして手をあわせた私の声は、
ねえ、本当に、あなたへと届いていましたか。









――私、ほんとのほんとうに、あなた達が大好きよ。
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by nominingen | 2012-10-16 20:00 | 内部


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