リサイクル

ブログにあげられるネタもssもなかったので、
ssにすらならなかったボツをリサイクルとして二つほど。
私の言い訳と解説つきなので気になった方だけどうぞ。




1


もし彼女が、感情の発露を思うままに出来たのならどれだけ良いのだろう。
好きなだけ泣いて、喚いて。ぶつけて。それで解消出来たなら。
しかし彼女はそうしない。ただ眉を寄せて、唇を噛んで、拳をつくって、背を向ける。
過去の経験と彼女自身の意思とがそうさせているのか。あるいは。あるいは。
いくつもの仮説が浮かんでは消え、浮かんでは消え、結局は密かに眉を顰め、溜息を吐いた。
自分のちっぽけなものさしで、彼女の何が測れるというのだろう。
泣いて喚いて。彼女が心を許し、なにもかもぶつけられるその対象が、自分であって欲しいだけだ。
それで彼女の気が晴れるとも限らないのに。



内部CP要素もの。最後まで名前を出さずにその子っぽくできるか?
また↑の「彼女」が誰なのかを読み手が想像出来る楽しみを書き手が書けるか?
という試みのもと書き始めたのですが途中から語り手が誰だか分りにくすぎるし薄暗い方向になってくし
そんなにこの発想が表現したいことと合致してないように思えて結局ボツ。言い訳と解説のが長いよ!カス!




2



今日はみんなそろって神社にお泊まり会だ。
時間は大体五時ぐらいに集まろうってみんなで決めた。
で、今神社に着いたあたしの腕時計が指し示すのは正午。
鳩が豆鉄砲くらった顔を遥かに通り越して豆鉄砲をくらったカラスがものすごい勢いで威嚇してるような顔で
あたしを出迎えてくれたのはもちろんレイちゃんだった。
色んなのが込められた視線の矢をかわしつつ、あたしはレイちゃんのめずらしい格好に話題を振る。

「こんにちはレイちゃん。今日はどしたの?」

いつもの巫女装束なのだけれど、今日は髪を結っていて、
おまけにおみくじみたいな白い髪飾りがついている。
なんていうか、これぞ巫女さんって感じ、と言うと軽く息をつかれて、
それからレイちゃんの眉間のしわがとれた。
聞くとこれから外におじいちゃんと一緒におはらいに行くらしい。
新しくビルが建つ予定で、今年から工事を始めたのだけど、なんでもやたら事故が起きる。
その中には誰かに手を掴まれたーとか、肩押されたーとか、透けた人影を見たーとか、そんなのもあるらしい。
悪い幽霊かなにかがいるんじゃないかってことで、突然神社に依頼が舞い込んできたと。
そうシンプルに説明してくれたレイちゃんは、で?と片っぽの眉だけあげる。

「美奈はどうしてこんな早くからうちに来たのよ」

家にいても母親が勉強しろとうるさいので早めにきたと素直に告げると、深い溜息をつかれてしまった。
それでも帰れと言わずに家にいれてくれるあたり、レイちゃんはやさしい。
言うと照れて怒るだろうから黙っていたら、なににやにやしてるのって怒られたけど。
なれた手つきで準備する姿に、あれ?と首をかしげる。

「持ってくの、弓だけなの?」
「それがどうかした?」

振り返らずに準備し続ける手には弓。
しかも以前部活で使っているのだと言っていたそれとはどこか違う雰囲気だ。
おはらいのことはよく分らないが、弓は矢があって初めて揃ったもんじゃないんだろうか。
ええと、なんだっけ、あの変わった形の矢。

「はま矢、だっけ?とかも、いいの?」
「必要ないわよ」

闘いに行くとは違うんだから、と続けた霊にますます美奈子は首を傾げる。
悪い霊を退治にしに行くんじゃないの?
違いがよくわからない、とうなるあたしをよそに淡々と用意しながらレイちゃんは説明する。

「悪意を払うと「祓う」は別物なのよ」
「ふーん…」

とりあえずの相づちを打つ。レイちゃんはそれ以上説明する気はないようで、
あたしも深く聞こうって気にはならなかった。
たぶん、聞いてもよく分んないだろうし。
そうこうしてる内におはらいの準備は大体終わったらしい。
レイちゃんは今度は家のちょっとだけ残った片づけごとをし始めた。
あたしはおはらいと連想して、ぴんと浮かんだ思い付きを背中に投げる。

「ね、夜は百物語でもしよっか?」
「よしなさいよ。うさぎがぴーぴーうるさくて朝まで寝れない羽目になるわ」
「ちぇっ。ねーねーレイちゃん、帰ってきたらなんか怖い話ししてよ」
「どうしてあたしが。怪談なんて本でもテレビでもあるでしょう」

どうせならおじいちゃんの貸してあげるわ、案外好きで集めてるし、とやれやれと肩をすくめる。

「本とかテレビなんてみんなつくりもので飽きちゃったんだもん。
 レイちゃんだったら色んな話知ってそうだし」

あのね、とレイは眉間にしわを寄せる。

「怪談なんてそれこそつくりものでしょう。それに…」
「それに?」

首をかしげると、レイちゃんは黙ってしまった。怒らせちゃったかな、とも一瞬思うが、
それにしては何か考えているようで。
どしたの、と聞く前に、おーい、とおじいちゃんの声。どうやらもう出る時間が来てしまったらしい。
レイちゃんの顔がぱっと切り替わる。
きれいな口元がきゅっと結ばれて、紫の瞳が強く輝く。表情が大きく変わった訳でもないのに、
醸し出す雰囲気はがらりと変わる。
こういうの、仕事の顔って言うんだろうか。
そんな事を思っていると、レイちゃんは弓を携える。
本なら奥の部屋にあるから勝手に読んでいいわ、
おじいちゃんそんなに整理してないから別に気にしなくていいから、
とにかく大人しくしてなさいよ、
と主に最後の言葉に力を込めて早々に出て行ってしまった。



夏らしくセオリー通りの、小泉八雲のような怪談というものを何故か書きたくなったので書き始めたもの。
しかし肝心の怪談部分がどうも面白くならず、ぱっと浮かばずボツ。
あとホラー自体そこまで詳しくもなかったのでそもそも引き出しがなかった。無念。引き出し作れって話ですね。
加えて内部全員仲良しだぜははーん!っていうのもやりたかったけれどこれ他の子どうやって出すんだよ
…と路頭に迷う。アホ。

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by nominingen | 2012-09-22 11:47 | 内部


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